2005年05月12日

生卵はサルモネラで危険なのか??

サルモネラ(Salmonella)は日本における食中毒菌の中では一位二位を争う有名な菌です。
もともと自然界に存在しているグラム陰性の通性嫌気性桿菌ですが、最近特に注目されているのは、鶏卵からの汚染です。
スーパーで売っている卵の中にもサルモネラフリーの文字がよく見られるようになっているように、鶏卵を生産している現場でもサルモネラの対策に追われています。

鶏卵におけるサルモネラ菌の感染経路は、鶏卵そのものにサルモネラ菌がいる場合と、
流通や調理時にサルモネラ菌が混入する場合があります。
養鶏場の鶏はサルモネラ菌に感染すると、死んでしまうものもいますが、症状を示した後回復したり、無症状のものもいて、後者が菌保有鶏として問題になります。
サルモネラ菌を持ったまま、ウン○をすることで、鶏舎内にサルモネラ菌を広げたりします。

このサルモネラ菌が卵についた場合をOn-Eggといいます。
On-Eggの場合は、たまごを集めた後に殺菌することで、ある程度、食中毒のリスクは下げられます。

しかし、サルモネラ菌の種類によっては、鶏の卵巣内に移動し、卵巣内で卵が作られるときに
卵の中に入ってしまう場合もあります。
この場合はIn-Eggといって、洗浄殺菌では防ぐことができません。

このIn-Eggを防ぐことは、生産現場では大変難しいのです。
ワクチンの投与だけでなく、鶏の飼育環境の改善など、細かいところに気を配りながら
サルモネラの発生を抑えています。
また、鶏舎を移動する人間が感染経路になることもあるので、従業員への衛生教育も大切です。

実際のところ、In-Eggの卵は数的にはとても少ない上(5000〜20000個に1個)、1つの卵に入っている菌量は少なく、それを食べても人間が発症することはなく、スーパーの卵で食中毒、というパターンは少ないと思われます。
しかし、卵の中には、割卵して液卵にされて、ケーキの材料や、マヨネーズの材料として使われる場合は、菌が増殖する因子が多く、リスクは大きくなります。
実際、サルモネラ菌による食中毒の患者数は年々増加しています。
生産現場、流通、食品工場現場など、各々の立場で、地道な衛生管理が大切ですね。

結論。
適正に流通された賞味期限内(その賞味期限が正しければ)の生卵は、OK!!

ちなみに、サルモネラ菌は、中心部の温度が68℃以上、3.5分間以上の処理で死
滅します。どうしても心配なら、半熟卵〜固ゆで卵にしてお召し上がりくださいね。

では、今日はこのへんで。
posted by moako at 01:09| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
たしか漫画『美味しんぼ』の主人公山岡が結婚するにいたった経緯にサルモネラによる生卵の汚染問題がからんでいたのを思い出しました。たしかサルモネラだったはず・・・。第何巻だったっけな〜???
Posted by Tappy at 2005年05月13日 11:39
はじめまして。ドイツ在住のどくとるくまと申します。
古い記事へのコメントすみません。

今回こちらの記事を、当ニュースブログ記事にリンクさせて頂きました。
TB歓迎と書いておられるので、リンクもO.K.かと思いますが、
もし不都合があるようでしたらリンクを消しますので、ご連絡下さいませ。
Posted by どくとるくま at 2011年01月17日 02:11
>どくとるくまさま
コメントありがとうございました。
リンクも大歓迎でございます。
古い記事に目を留めていただいてうれしいです。
また、遊びに来てくださいね。
Posted by moako at 2011年01月18日 09:57
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